誘導質問の実例:インタビューで「欲しい答え」を自分で作らない聞き方

目次

インタビューの録音を文字起こしして、読み返していたときのことです。ある一箇所で、手が止まりました。

(わたし)「さっきの新料金、正直ちょっと高いと感じましたよね?」
(相手 )「まあ…はい、そうですね」

わたしが「高い」と言い、相手が「高い」に頷いている。きれいに一致していますが、相手が自分から「高い」と切り出したわけではなく、差し出した答えに頷いただけでした。

これを生むのが誘導質問、聞き方で相手の答えを決めてしまう質問です。こわいのは、失礼だからではありません。自分の仮説に返ってきた同意を「ユーザーの声」と信じ込んで、意思決定に載せてしまうこと。これが、いちばんの損失です。この記事を読めば、書き上げた質問から誘導を見つけ、中立に直し、返ってきた答えを「言ったこと≠思っていること」の目で読み分けられるようになります。

例に使うのは、あるタスク管理ツール(BtoB SaaS)を解約したユーザーへのデプスインタビューです。悪い質問「さっきの新料金、正直ちょっと高いと感じましたよね?」ひとつを、診断し、直し、本番での扱いを見て、最後に読み方まで追いかけます。登場する人物・発言・レポートは、すべて説明のために作成した架空のものです(実在の人物・企業・調査結果ではありません)。

「いい質問のつもり」が、答えを決めていた

まず、誘導質問とは何かをはっきりさせます。誘導質問とは、質問の中に「望ましい答え」がすでに埋め込まれていて、相手をそちらへ寄せてしまう聞き方のことです。「高いと感じましたよね?」には、もう「高い」という答えが入っています。相手はゼロから考えるのではなく、差し出された答えに「はい/いいえ」を返すだけになります。

少し抽象的な言い方をすると、誘導質問は山びこに似ています。谷に向かって「高いよなー!」と叫べば、返ってくるのは「たかいよなー…」という自分の声。それを律儀に書き取って「谷がそう言った」とレポートに書く。おかしな話ですが、インタビューではこれが驚くほど自然に起きます。相手は生身の人間なので、こちらが差し出した言葉に、つい合わせてくれるからです。

この「聞き方が答えを作る」問題は、感覚的なお説教ではなく、方法論の中核で扱われてきた論点です。Cairns-Lee たちは 2022 年の査読論文で、面接者の質問の仕方が回答の信頼性(trustworthiness)を左右すると整理しました。しかも厄介なことに、非誘導を意図していても、それだけでは足りず、意図せぬ誘導が面接中に起きると指摘しています。回答そのものも、心の奥に完成品として眠っているわけではありません。人は質問を受けてから、その場で理解し、記憶をたどり、判断を組み立てて答えを作ります(Tourangeau ほか)。つまり回答は、取り出した事実ではなく、その場で構成されたもの。だから聞き方ひとつで、出てくる中身が変わります。

念のため、公平を期しておきます。「誘導=つねに悪」とまでは言い切りません。相手の話の裏を取るために、あえて踏み込んで揺さぶる場面もあります。ただ、実務でいちばん問題になるのは、そういう意図した誘導ではなく、気づかいや相槌のつもりで漏れ出す意図せぬ誘導のほうです。悪意はない。むしろ「丁寧に聞こう」とするほど、うっかり答えを配ってしまう。ここが怖いところです。

だから、この記事を通して持ってほしい構えは、1 つだけです。自分の質問を見て、「これは答えを探しにいっているか、それとも答えを配っているか」と一度疑うこと。それだけで、拾える誘導がぐっと増えます。

やりがちな聞き方は 7 つの型で見つかる

構えの話だけでは動けないので、道具を渡します。インタビューガイド(何をどう聞くかの下書き)を書き終えて、本番前に見直すとき、自分の質問に当てるための早見表です。ガイドそのものの作り方は別記事にあるので、ここでは書き上がったガイドを点検する前提で進めます。

先に但し書きを。この 7 つは、この記事のための整理です。複数の教科書と査読研究がばらばらに指摘してきた「まずい聞き方」を、実務で使いやすいように束ね直したもので、どこか一冊にこの 7 つがきれいに並んでいるわけではありません。だから各行に「主な出典」を付けて、元をたどれるようにしました。

下の表は、データの表ではありません。入力は「自分のガイドの質問文」です。使い方は、各質問を上から読んで「どの型に当てはまるか」のラベルを貼っていくこと。ひとつの質問に 2 つ以上の型が同居することもよくあります(冒頭の「高いと感じましたよね?」がまさにそれです)。

悪い例(解約面接)なぜ答えが歪むか直し方の一手主な出典
① 答えの口移し「新画面、使いにくかったですよね?」結論を先に差し出し、なぞらせている結論を引っ込め、白紙で問うCairns-Lee 2022 / Kvale
② 前提の埋め込み「高い料金の、どこが不満でした?」「高い」という未確認の前提を忍ばせている前提を外して事実から聞くFowler / Patton / Cairns-Lee 2022
③ 賞賛・評価の混入「あの好評の新機能、便利でしたよね?」質問に「好評」「便利」の評価語が混じっている評価語を抜き、中立の言葉にするCairns-Lee 2022
④ 二者択一の押し付け「解約は価格ですか、機能ですか?」こちらの用意した 2 択に押し込んでいる選択肢を出さず開いて聞くPatton
⑤ Yes-No で閉じる「新料金には不満でしたか?」はい / いいえで終わり、考える前に流れる「どう」「何」で開くPatton / Fowler
⑥ 二重質問「価格と操作性、どうでした?」一度に二つ聞き、どちらの答えか分からない一問一論点に割るFowler / Patton
⑦ 専門用語で煙に巻く「オンボーディングの離脱、どうでした?」相手が知らない語で、当て推量を誘う相手の言葉に翻訳するFowler

この 7 つ、性格が 2 つに分かれます。下ごしらえで見つかるのは、主に前提・二重・専門用語・二者択一・Yes-No の 5 つ。これはガイドの文面をにらんでいれば、本番前に拾えます(⑥の二重質問、つまり一問で二つ聞く型は、目で追えば分かります)。

やっかいなのは残りの 2 つ、「答えの口移し」と「賞賛・評価の混入」です。この 2 つは、文面がきれいに整っていても、口に出した瞬間や相槌のトーンで顔を出します。だからガイドを直しただけでは足りず、本番でも警戒が要ります。

誘導は 3 手で中立に直せる

見つけたら、直します。中立化のやり方は、突き詰めると 3 手です。

  1. 開く
    • Yes-No や 2 択をやめ、「どう」「何」「どんなふうに」で始める。
  2. 前提を外す
    • 「高い」「不満」など、こちらの評価語を質問から抜く。
  3. 具体で聞く
    • 意見(どう思う?)ではなく、出来事(そのとき何があった?)を聞く。

この 3 手が効くのは、たまたまではありません。定性の教科書は、質問を本当の意味でオープンにし、中立にし、一度に一つのことを聞く(singular)という規範を繰り返し説きます(Patton)。設問設計の側からも、偏った語法を避け、中立の言葉で聞くべきだと、同じことが言われています(Fowler)。要は、自分の声を質問から抜いていく作業です。

この 1 問に、3 手を当ててみます。

誘導版:「さっきの新料金、正直ちょっと高いと感じましたよね?」

これは一問で三重に誘導しています。「高い」という②前提の埋め込み、「高い」という③評価語、そして「〜よね?」という⑤ Yes-No 閉じ。相手に残された仕事は、頷くことだけです。

中立版:「新料金の案内が届いたとき、どう思ったか、そのときのことを聞かせてください」

「高い」を抜き(前提を外す)、「どう思ったか」で開き、「案内が届いたとき」という具体の場面に着地させています。これなら、相手は「高い」とも「妥当だった」とも「そもそも料金は気にしてなかった」とも言える。答えが、相手の側に戻ります。

Before/After を並べて見えるようにします。次の表も、入力は自分の誘導版の質問文で、右へ読むと直し方が分かります(先頭は冒頭の一問、あとは同じ面接で出がちな質問を並べました)。

誘導版潜む型なぜ歪むか中立版使った手
新料金、高いと感じましたよね?②③⑤「高い」を差し出し頷かせる新料金の案内が届いたとき、どう思ったか教えてください開く・前提外す・具体
新画面、使いにくかったですよね?①⑤結論を口移ししている新画面になってから、操作で変わったことはありますか開く・前提外す
あの好評の新機能、便利でしたか?③⑤「好評」「便利」の評価語が混入新機能を、実際にどう使いましたか評価語を抜く・具体
解約の理由は価格ですか、機能ですか?2 択に押し込む解約を決めた前後で、何がありましたか開く
価格と操作性、どうでしたか?一問で二つ聞く料金について、どう思いましたか/操作で、困った場面はありましたか一問一論点に割る
オンボーディングの離脱はどうでした?相手が使わない語で聞く使い始めの時期、つまずいた場面はありましたか相手の言葉に翻訳

ただし、開けば安全というわけではありません。「このツールについて、どう思いますか?」まで開くと、今度は漠然としすぎて、相手は「まあ、普通です」と答えるしかなくなります(問いが宙に浮きます)。だから 3 手目の「具体で聞く」が効いてきます。意見を広く聞くのではなく、出来事を細く聞く。「案内が届いたとき」「使い始めの時期」と、時間と場面を指定してあげると、開いていても答えやすくなります。

直したら、配る前にひとりだけに試すことをおすすめします。プリテストです。同僚でも家族でもかまいません。声に出して聞いてみて、相手が詰まったり、こちらの言葉をなぞり返してきたら、まだ誘導が残っているサインです。統計的な手続きではなく、単純に「口に出すと粗が見える」という経験則ですが、これがいちばん安い保険です。

本番では言葉以外も誘導する

さて、ガイドの文面はきれいに直しました。これで安心、とはいきません。実査(本番のインタビュー)は、質問文の読み上げではなく、その場のやりとりだからです。半構造化インタビュー(大枠は決めつつ、順番や深掘りはその場で変える聞き方)では、こちらの相槌・表情・沈黙・先回りが、質問文と同じくらい相手を動かします。文面がきれいでも顔を出す「答えの口移し」と「賞賛・評価」は、ここで牙をむきます。

ここは正直に、この主張の確からしさを書いておきます。「相槌や沈黙が誘導になりうる」というのは、面接者は中立であるべきだという一般原則(Patton の言う rapport と neutrality、Kvale の言うインタビュー=対人的相互作用)から、現場の所作へ敷衍したものです。「相槌ひとつで回答が何%変わる」といった効果量を主張するものではありません。あくまで、原則から導いた話として読んでください。

言葉だけだと掴みにくいので、誘導まみれの面接を一本、見せます(すべて説明用の逐語です)。

(面接者)「さっきの新料金、正直ちょっと高いと感じましたよね?」
(相手 )「まあ…はい、そうですね」
(面接者)「ですよね。やっぱり値上げがきつかった、と」   ← 先回り・言い換え
(相手 )「そう…ですね」
(面接者)(深くうなずいて)「わかります、あの値上げはねえ」 ← 評価的な相槌
(相手 )「はい」

読み解きます。この「はい」を、「解約理由=価格」という発見として意思決定に載せてよいか。載せてはいけません。面接者は「高い」「値上げがきつい」という結論を三回差し出し、相手は三回なぞっただけ。ここで得られたのは、相手の理由ではなく、面接者の仮説の反射です。この箇所の証言は、まるごと重みを下げて読むしかありません。

人にはもともと、質問に「はい」「そうですね」と合わせたくなる傾向があります。これを黙従傾向(同意方向に流れやすいクセ)と呼びます。「〜ですよね?」は、このクセをまさに突く聞き方です。だから相手の同意は、額面より割り引く必要があります。

では、本番でどう振る舞うか。進行(モデレーション)のコツは、突き詰めると 3 つに戻ります。

  • 沈黙を待つ
    • 相手が黙っても、こちらから「たとえば予算的にとか?」と埋めない。気まずい数秒のあとに、いちばん大事な一言が出ることが多い。
  • 相手の言葉で返す
    • 「使いにくい、ということですね」と言い換えを足さない。相手が使った語を、そのまま拾って返す。
  • 評価的な相槌をやめる
    • 「ひどいですね」「わかります」は共感のつもりでも、方向を指し示してしまう。「なるほど」「もう少し聞かせてください」に留める。

この 3 つ、頭では分かっていても、本番ではつい先回りしがちです。沈黙を待つのが、地味にいちばん難しい。

「言ったこと」は「思っていること」ではない

聞き終わって、逐語とメモが手元にあります。ここからが読みの本番です。逐語を、そのまま「事実の記録」として扱うことはできません。

回答はその場で構成されたものだからです(Tourangeau ほか)。だから、読むときの構えはひとつ。「言ったこと」と「思っていること」を、同じものだと思わないこと。インタビューの教科書も、発言の意味は解釈の対象であって、額面どおりに直読するものではないと念を押します(Kvale の意味解釈の章)。

さっきの誘導版と同じ相手に、今度は中立に聞き直した面接を見せます(これも説明用の逐語です)。

(面接者)「新料金の案内が届いたとき、どう思ったか、そのときのことを聞かせてください」
(相手 )「んー、正直、金額そのものは、まあそんなものかな、と。ただ…」(沈黙)
(面接者)(待つ)                                              ← 埋めない
(相手 )「その頃には、もうほとんど開いてなくて。使えてないのに、
          お金だけ払ってるのが、なんか嫌になって」
(面接者)「"使えてない" というのは、どのあたりでそう感じました?」  ← 相手の言葉で返す
(相手 )「現場が一気に増えた時期に、入力が追いつかなくなって。
          気づいたら、ホワイトボードに戻ってました」

同じ人・同じ解約なのに、出てきた筋がまるで違います。誘導版では「価格が高い」。中立版では、金額そのものは「そんなもの」で、引き金は「使えていないのに払っている」という不稼働感でした。言ったこと(高い)と、思っていること(使えていない)が、別だったわけです。もし誘導版だけを信じて「価格が高い→値下げしよう」と動いていたら、たぶん解約は止まりません。犯人は価格ではなく、使えなくなった経緯のほうにいたからです。

読むときの実務動作は、3 つに畳めます。

  1. 誘導気味だった箇所は、重みを下げる
    • 「高いですよね?」への「はい」は、証拠として弱い。
  2. 別の言い回しで裏を取る
    • 同じ論点を、時間や場面を変えてもう一度、開いて聞く。
  3. 発言を、行動や具体の出来事と照合する
    • 「高い」と言った人が、実は数か月ほぼ開いていなかったという事実と突き合わせる。

結局のところ、誘導して引き出した同意を「発見」として意思決定に載せない。これが、読むときにいちばん外してはいけないところです。

業者やツールが出してきた「答え」も、同じ目で見る

ここまで「自分が聞く」前提で書いてきましたが、実務では他人が聞いた結果を受け取る場面のほうが多いかもしれません。リサーチ会社に外注する、あるいは AI がインタビューを要約する。その成果物にも、同じ物差しを当てます。

たとえば、外注先から報告書が上がってきて、こう書いてあったとします。「解約理由 第 1 位:価格が高い(57%)」。円グラフつき。きれいだし、上司にも一目で伝わる。でも、ここで手が止まってほしい。その 57% は、誘導質問で作った「はい」を集めて%にしただけかもしれないからです。

成果物を受け取る側のチェックは、身構えたチェックリストとして持つより、相手に逐語でそのまま聞ける質問に畳んでおくと使えます。

  • 「この結論のもとになった、実際の質問文を逐語で見せてください」
  • 「『高い』は、面接者がどう切り出しましたか。『高いと感じましたよね?』のような聞き方が混じっていませんか」
  • 「相槌や言い換えで、面接者が方向づけていないか、録音で確かめられますか」
  • 反対の語り——価格は気にしていなかった人——はいましたか。その声はどう扱いましたか」
  • (AI 要約なら)「要約の各行を、元の発言まで遡れますか。要約が『不満』のような評価語を、勝手に足していませんか」

この質問にすらすら答えられる業者は、信頼できます。逆に「逐語は出せない」「録音は破棄した」と言われたら、その 57% は額面で受け取らないほうがいい。

そして、読者がいちばん直面するであろう場面、上司の一言への即答も用意しておきます。上司「ユーザーは高いって言ってたんだろ? じゃあ値下げしよう」。ここで「はい」と言ってしまうと、誘導で作った同意がそのまま経営判断になります。こう返します。

「『高い』という言葉は出ました。ただ、こちらが『高いですよね?』と誘導したあとの同意でした。中立に聞き直すと、引き金は価格そのものより『使えていないのに払っている』感覚のほうでした。値下げより、稼働を取り戻す施策のほうが効くかもしれません。判断の前に、あと数本、聞き直させてください。」

ちなみに、最初から「割合も知りたい」なら、それは少数の発言をあとから%に化粧する話ではなく、ミックスメソッド(定量と定性を最初から組み合わせる設計)として企画する話です。

この聞き方で手に入るもの、手に入らないもの

ひととおり見てきたので、この手順の縁を確かめます。冒頭で「高いですよね?」への「はい」を喜んでいたのは、まさにこの縁を踏み外した瞬間でした。

この記事が渡せるのは、「作った答え」を減らすための、聞き方と読み方の手つきです。渡せないものも、先に言っておきます。

  • 誘導はゼロにはできません。
    • 非誘導を意図しても、意図せぬ誘導は残ります(Cairns-Lee 2022)。できるのは、減らすことと、あとで気づいて重みを下げることだけです。
  • 中立に聞けば真実が出る、わけでもありません。
    • 中立版で出た「不稼働感」も、その場で構成された語りで、解釈の対象です。因果は、ログや別の設計で確かめる話になります。
  • 効果量は測っていません。
    • 「相槌で何%変わる」は、この記事の射程の外。あくまで原則からの敷衍です。
  • これは架空データです。
    • 例に出したツールも、その相手も、二本の逐語も、ぜんぶ教材で、実在の証拠ではありません。練習できたのは手つきであって、特定サービスの解約理由の真実ではありません。
  • 自記式アンケートの設問を、机で直す話
    • この記事では扱っていません。対面の会話に絞りました。配信前の調査票を直す手順は、質問文の作り方のほうにあります。

そして、これらの限界の先には、実際に人に会って聞く実査が要ります。手つきをいくら磨いても、現場で沈黙に耐え、相手の言葉を拾う練習は、やってみないと身につきません。それに、本物の相手に会うなら、聞き方以前の大前提が 1 つ。何のために聞くのかを伝え、録音の可否を確かめ、同意をもらう。ここを先に済ませてから、質問の話です。

おわりに

最初の逐語に戻ります。「さっきの新料金、正直ちょっと高いと感じましたよね?」。この一言を、もう一度だけ中立版に置き換えてみます。「新料金の案内が届いたとき、どう思ったか、聞かせてください」。

たったこれだけの違いで、返ってくるのが「自分の声の反射」から「相手の話」に変わります。インタビューのゴールは、欲しい答えをもらうことではありません。欲しい答えを、自分で作ってしまわないことです。

えらそうに書きましたが、わたしも本番になると、いまだに「〜ですよね?」と言いかけます(そして相手が「はい」と言った瞬間に、あ、また配った、と気づきます)。誘導は、たぶん一生ゼロにはなりません。ただ、気づいて言い直せるようにはなります。それで十分だと思っています。

次に誰かに話を聞く前に、書き上げたガイドを一度、この 7 つに当ててみてください。きっと 1 つか 2 つ、答えを配っている質問が見つかります。見つかったら、しめたもの。配る前に、直せます。

参考文献

  • Hélène Cairns-Lee, James Lawley & Paul Tosey, “Enhancing Researcher Reflexivity About the Influence of Leading Questions in Interviews”, The Journal of Applied Behavioral Science, 58(1), 2022, pp.164–188, DOI:10.1177/00218863211037446.
  • Steinar Kvale & Svend Brinkmann, InterViews: Learning the Craft of Qualitative Research Interviewing, 3rd ed., 2015, SAGE, ISBN 9781452275727.
  • Michael Quinn Patton, Qualitative Research & Evaluation Methods, 4th ed., 2015, SAGE, ISBN 9781412972123.
  • Floyd J. Fowler Jr., Improving Survey Questions: Design and Evaluation, 1995, SAGE (Applied Social Research Methods, Vol. 38), ISBN 9780803945838.
  • Roger Tourangeau, Lance J. Rips & Kenneth Rasinski, The Psychology of Survey Response, 2000, Cambridge University Press, ISBN 9780521576291.
この記事の著者 ずか

スタートアップの UI デザイナーとして出発し、2010 年代は数々のスタートアップで Web・アプリのデザインを手がけ、その立ち上げを支援。その後はデザインファームで、大手企業の新規事業開発にも関わってきました。UI は、人の「こうしたい」という想いを形にする仕事です。ただ、その形は最初から見えているわけではなく、使う人との対話的なリサーチを重ねながら育っていく。だから、調査の現場にも身を置いています。