Searchill について

数字の向こうには、いつも一人の人がいる。

調査レポートを読んでいて、ふと手が止まったことがあります。「20 代女性の 60% が支持」。きれいな数字でした。けれど、その 60% の中にいるはずの、誰か一人の顔が、どうしても浮かんでこない。

データは目の前にあるのに、人が遠い。

調べる仕事をしていると、ときどきこういう瞬間が来ます。情報を集めるほど、整えるほど、なぜか生身の生活者から少しずつ離れていく感じ。便利な道具が増えたいまは、なおさらです。AI に聞けば、答えはすぐ返ってくる。手早く片づくぶん、その数字の奥にいる人の声を、わざわざ聞きにいく手間が省かれやすい。

ふつう、調査は「客観的であれ」と言われます。たしかにそうです。

ただ、客観的であることと、人と遠ざかってしまうことは、別のことだと思うのです。客観的であろうとするうちに、いつのまにか人が遠くなっている——気をつけるべきは、たぶんそこです。

調べるとはそもそも、誰かの「困った」「こうだったらいいのに」を、預かる仕事です。はじまりにはいつも、小さな想いがある。その想いを、思い込みで決めつけずに確かめるために、私たちは声を集め、数字を使う。数字のために人を見るのではなく、人を見るために数字を使う。

だから私たちは、調査を、遠くなりかけた生活者の声を、もう一度手元に戻す技術だと考えています。

良質な意思決定は、良質な問いから始まります。そして良質な問いは、「この人は本当は何を望んでいるんだろう」という、生活者への想いからしか生まれない。問いを立て、調べ、確かめ、また問い直す。その循環をていねいに回すほど、ぼんやりした印象は、人の顔を持った確信に変わっていきます。


Searchill(さーちる)は、調査実務にたずさわる人のためのナレッジサイトです。

用語の意味をひとつ正確に押さえること。調べ方の手順を、誰でも再現できる形にすること。派手なところはありません。地味だけれど、生活者の声をきちんと扱う仕事は、もともとこういう地味さの積み重ねでできている。それでいい、と思っています。

ここに集めているのは、リサーチのスキルです。定量も、定性も、机上の調べものも。ひとつずつ身につけていけば、リサーチは意思決定を、ほんの少し速く、ほんの少し強くしてくれる。そう信じて、サイトの名前にも「リサーチのスキル」を込めました。


物事を前へ進めるのは、いつも、人の想いです。

何かを良くしたいと願う担当者の想いと、その先で「こうだったらいいのに」とつぶやく生活者の想い。その二つの想いが重なったとき、物事ははじめて前へ動き出す。

その重なりを生むために、生活者の声を、もう少しだけ身近に。Searchill は、そのための場所です。