サンプルサイズ

サンプルサイズとは、1 回の調査で実際に回答を集める対象者の人数のことで、その人数が結果から推計できる数字の確からしさを左右する量です。

サンプルサイズを具体例で理解する

新サービスの利用意向を知りたくて、知りたい対象全体である母集団の代わりに、そこから抜き出した 400 人にアンケートを取ったとする。この「400 人」がサンプルサイズだ。

このとき「利用したい」が 60% だったとして、では母集団でもちょうど 60% なのかというと、そうとは言い切れない。手元にあるのは抜き出した標本(サンプル)400 人ぶんの回答であって、全員に聞いたわけではないからだ。

そこで実務では、「全体ではだいたい 55〜65% くらいだろう」というふうに、ある幅をもって推計する。サンプルサイズは、この幅をどのくらい狭くできるかを決めている。

サンプルサイズの仕組み

人数を増やすほど、手元の数字と「本当の値」とのズレは小さくなりやすい。だから、より細かい差を見たいときほど、多めの人数を数えておく必要がある。

ただ、増やせば増やすほど効くわけではない。たとえば 1,000 人規模の調査で誤差が ±3% 程度だとして、それを ±1% 台まで詰めようとすると、人数は数倍にしなければならない。途中から、人数を足しても誤差はなかなか減らなくなる。

「とにかく多ければよい」とならないのは、このためだ。

サンプルサイズは何を決めるのか

サンプルサイズの設計は、たとえば次のような判断に効いてくる。

  • 全体の数字を、どのくらいの幅で言い切ってよいか
  • 年代や地域ごとに分けても、まだ比較に耐える人数が残るか
  • 競合との数ポイント差を、意味のある差として扱ってよいか

調査を始める前に「何人集めるか」を決めることは、結果をどこまで強く語れるかを先に決めることでもある。

サンプル数との違い

最も混同されやすいのが「サンプル数」だ。サンプルサイズは、1 回の調査で集める回答者の人数を指す。一方でサンプル数は、本来は標本(グループ)の個数を指す言葉だ。A 案・B 案・C 案を別々の集団に見せて比べるなら、サンプルサイズは各集団の人数、サンプル数は集団が 3 つ、という関係になる。

実務では両者が同じ意味で使われる場面も多いが、報告書で「サンプル数 400」と書いてあるとき、それが人数なのか群の個数なのかで読み方は変わる。数えているのが何なのかを確かめておきたい。

サンプルサイズが保証しないこと

人数をいくら確保しても、その回答者の集め方が偏っていれば、推計はその偏りごと大きくなるだけだ。誤差には、人数で決まる部分のほかに、誰が答えていないか・質問の聞き方といった、人数では消えない部分がある。サイズは確からしさの一部しか保証しない。

もう一つの落とし穴は、クロス集計で起きる。全体では十分な人数でも、年代 × 性別 × 利用頻度と切り口を掛け合わせていくと、ひとつのセルに数人しか残らないことがある。そこで出た割合は、数人の回答で大きく動いてしまう。全体の人数ではなく、いちばん細かく見たいセルに何人残るかで、必要なサイズは決まる。

サンプルサイズとは、語れる範囲をあらかじめ決める量である

サンプルサイズは、調査の「規模」を示す数字に見える。でも実際にそれが決めているのは、集まった数字をどこまで強く語ってよいか、という範囲のほうだ。

何人集めたか、ではない。

その人数で、何をどこまで言えるのか。先にそれを引き受けておくことが、サンプルサイズを決めるということだと思う。

このページの著者 こんぺい

大手事業会社で商品企画に携わり、スタートアップではプロダクトマネージャーとして会社を立ち上げ、調査会社では立ち上げからリサーチオペレーションを築いてきました。事業をつくる現場でいつも大事だと感じるのは、作り手と使い手の想いが重なる部分をどう大きくするか、そして、いいものを届け続けるお金のめぐりをどうつくるか。その重なりを広げる力が、リサーチにはある。そう信じて、このメディアをつくっています。