クロス集計
クロス集計とは、アンケートなどの回答を年代、性別、利用頻度といった別の項目で分け、グループごとの違いを比較する集計方法です。
クロス集計を具体例で理解する
アンケート結果の資料に、こう書かれていたとする。
「このサービスに満足している人は 72% でした」
全体としては、悪くない数字に見える。
ただ、年代別に分けると、20 代は 50%、50 代は 90% だったとしたらどうだろう。さらに利用頻度別に見ると、20 代のヘビーユーザーほど満足度が低かったとしたら、72% という数字の意味は変わる。
全体では見えなかった違いが、回答を分けて比べることで現れる。
これがクロス集計である。
クロス集計の仕組み
クロス集計では、2 つ以上の項目を掛け合わせて表を作る。
たとえば、縦に「年代」、横に「満足度」を置けば、年代別の満足度を比較できる。縦に「利用頻度」、横に「継続意向」を置けば、よく使う人ほど今後も使いたいと思っているのかを確認できる。
人数だけではグループの大きさに影響されるため、比較するときは、それぞれのグループ内で割合を計算するのが基本になる。
クロス集計は何に使うのか
クロス集計は、たとえば次のような問いに使える。
- どの年代で満足度が低いのか
- 初回利用者と継続利用者で評価は違うのか
- 商品を知った経路によって購入意向は変わるのか
- 部署や役職によって課題の感じ方は違うのか
全体の傾向を知るだけなら、設問ごとの回答数や割合を出す単純集計で足りる。クロス集計が必要になるのは、その数字を「誰の回答か」という切り口で見直したいときだ。
クロス集計でわからないこと
クロス集計で差が見つかっても、その理由や因果関係までわかるわけではない。
20 代の満足度が低かったとしても、年齢そのものが原因とは限らない。利用している機能、期待している体験、情報に触れた経路など、別の条件が影響している可能性もある。
また、回答者が少ないグループでは、数人の回答だけで割合が大きく動く。切り口を増やすほど詳しく見えるが、同時に数字は不安定になっていく。
クロス集計で見つかるのは、答えではない。
次に確かめるべき問いである。
クロス集計は、平均に消された人を取り戻す
全体の数字は、議論の出発点として必要である。けれど、さまざまな人の回答を一つにまとめた瞬間、そこにあった違いは見えなくなる。
その 72% は、誰の 72% なのだろう。
この問いを持つと、データは報告のための数字から、顧客や組織を理解するための会話に変わる。
大切なのは、切り口を増やすことではない。どの違いを見るべきかを決め、その向こうにいる一人ひとりの生活や感情を想像すること。そうやって、平均に消された人をもう一度見つけにいく。