トップ2ボックス

トップ2ボックスとは、5 段階などの評価尺度で、良い方から数えて上位 2 つの選択肢を合算し、肯定的な回答が全体の何 % を占めるかを 1 つの数字で示す集計方法です。

トップ2ボックスを具体例で理解する

新しいサービスの満足度を、5 段階で聞いたとする。

「とても満足/満足/どちらでもない/不満/とても不満」。

このとき「とても満足」と「満足」を選んだ人をまとめて、その割合を出す。仮に「とても満足」が 18%、「満足」が 47% なら、トップ2ボックスは 65% になる。

報告では、こう書かれる。「肯定的な評価は 65% でした」。

5 段階の細かい分布を、肯定率という 1 つの数字に畳んだもの。それがトップ2ボックスである。

トップ2ボックスの仕組み

仕組みは単純で、上位 2 つの選択肢を選んだ回答者の割合を足すだけだ。だから読み手は、いちいち 5 本の棒グラフを見比べなくても、「おおむね好意的か」を一目で受け取れる。

裏返しが、下位 2 つを合算するボトム2ボックスで、こちらは否定的な回答の割合になる。トップ2とボトム2を並べれば、肯定と否定のどちらに重心があるかが見える。両者にはさまれた中間の選択肢は、態度を決めかねている層として残る。

この集計が成り立つのは、選択肢が「とても満足 > 満足 > …」と順序を持っているからだ。順序のあるリッカート尺度だからこそ、上から 2 つをまとめることに意味が出る。

どの集計を選ぶか

同じ 5 段階でも、見たいものによって集計は変わる。

  • 平均値:全体の水準を 1 つの数字で追いたいとき。時系列で動きを見るのに向く。
  • トップ2ボックス:肯定率として「味方がどれだけいるか」を示したいとき。経営報告で最もよく使われる。
  • トップボックス(上位 1 つ):「とても満足」のような熱量の高い層だけを見たいとき。推奨や再購入に効くのはこの層であることが多い。
  • ボトム2ボックス:不満の火種を見つけ、対策の優先順位をつけたいとき。

評価をいくつかのグループに分けたいなら、回答を切り口で見直すクロス集計と組み合わせて、誰の肯定率なのかまで降りていける。

トップ2ボックスでわからないこと

トップ2ボックスは見やすい代わりに、情報を捨てている。

最大の弱点は、中間層が消えることだ。「とても満足」が多くて 65% なのか、「満足」と「どちらでもない」の境目で揺れている人を取りこぼした 65% なのか、合算された数字からは区別できない。回答の分布を 2 値に畳むと情報が失われ、結論が偏りうることは、尺度の集計を扱った査読研究でも指摘されている。

もう一つは、比較の難しさだ。尺度の段階数を 5 から 7 に変えれば、上位 2 つが占める範囲が変わり、肯定率も動く。文化や尺度設計に依存する以上、別の調査のトップ2ボックスと自社の数字を単純に並べて勝った負けたを語ることはできない。

評価尺度の使い方には文化差もある。4 か国を比べた査読研究では、日本を含む東アジアの回答者は中央の選択肢を選びやすく、アメリカの回答者ほど両端の極端な値を選びやすいと報告されている。中心化傾向と呼ばれるこの癖があると、「とても満足」が出にくく、トップ2ボックスもトップボックスも低めに沈む。だから同じ満足度でも、尺度の段階数や対象者の文化によって数字は動き、何 % なら良いという絶対の基準は、本来は存在しない。

トップ2ボックスは、態度の向きを手早く示す。

けれど、その内訳までは語らない。

トップ2ボックスは、肯定を数えるための一つの窓である

報告に「肯定的な評価は 65%」と書くとき、私たちが本当に決めているのは数字ではない。どこからを「肯定」と数えるか、という線引きである。

その線を上位 1 つに引くか、2 つに引くか。中間に沈んだ人を見ないことにするか、もう一度数えにいくか。

どこに線を引くかを決めてはじめて、その 65% は意味を持つ。線を選ばなければ、同じ数字が違う中身を指す。

このページの著者 こんぺい

大手事業会社で商品企画に携わり、スタートアップではプロダクトマネージャーとして会社を立ち上げ、調査会社では立ち上げからリサーチオペレーションを築いてきました。事業をつくる現場でいつも大事だと感じるのは、作り手と使い手の想いが重なる部分をどう大きくするか、そして、いいものを届け続けるお金のめぐりをどうつくるか。その重なりを広げる力が、リサーチにはある。そう信じて、このメディアをつくっています。