グループインタビュー(FGI)

グループインタビュー(FGI)とは、モデレーター(進行役)のもとに複数の対象者を集め、参加者どうしの会話を通じて、ある商品やテーマへの意見・反応を引き出す定性調査の手法です。focus group とも呼ばれます。

グループインタビューを具体例で理解する

新商品のコンセプトを 3 案まで絞ったとする。

どれも社内では支持があり、最後の 1 案に決めきれない。そこで、ターゲットに近い 20 代女性を 6 人集め、座談会のような場で 3 案を見せ、率直な反応を聞くことにした。

「この言い回し、ちょっと上から目線に感じる」と一人が言うと、別の参加者が「わかる、私はむしろ B 案の方が自分ゴトに思えた」と続く。誰かの一言が呼び水になって、提案側が想定していなかった引っかかりや言葉が、次々とこぼれ出す。

一人ずつ聞いていたら出てこなかった反応が、人が集まって会話することで現れる。これがグループインタビューである。

グループインタビューの仕組み

進行役のモデレーターが、5〜6 名程度の参加者に問いを投げ、自由に発言してもらう。一問一答で個別に聞くのではなく、参加者どうしが互いの発言に反応し合う。ここが、ほかの聞き方と決定的に違う。

この相互作用をグループダイナミクスと呼ぶ。誰かの発言が別の人の記憶や本音を引き出し、議論がひとりでに広がっていく。この連鎖こそが、わざわざ人を集める理由になる。

グループとデプス、どちらを選ぶか

1 対 1 でじっくり聞く形式をデプスインタビュー(デプス)と呼ぶ。グループと迷ったら、ほしいものが「広がり」なのか「深さ」なのかで考えるとよいと思う。

複数人の会話で発想を広げたいとき、たとえば新しいコンセプトへの初期反応を探る、想定していなかった言葉や論点を拾う、といった場面はグループが向く。短い時間で、多様な視点に触れられる。

一方で、購買にいたるまでの葛藤や、一人の意思決定の道筋を細かくたどりたいときはデプスが向く。グループでは、一人を深掘りする時間が取りにくいからだ。

そして、選ぶときに最も効くのは回答者の心理だと感じている。お金、健康、家庭の事情、コンプレックスのように、他人の目があると本音が出にくいテーマは、グループには不向きだ。グループが力を発揮するのは、商品評価や広告への反応のように、気軽に口に出しやすい話題のほうである。

参加者は基本的に、属性をそろえた同質なメンバーで組む。立場が違いすぎると、声の大きい人や肩書きのある人に場が引きずられ、相互作用ではなく遠慮が生まれてしまう。

グループインタビューでわからないこと

ここが、報告書を読むときに最もつまずきやすい点だと思う。

グループでの発言は、その人一人の純粋な意見ではなく、その場の空気が生んだ産物でもある。隣の人に同調して出た言葉か、本心から出た言葉かは、発言だけを見ても区別できない。

「参加者の多くがそう言っていた」という記述も、慎重に扱いたい。先に発言した人や声の大きい人に引っ張られ、本当はそう思っていない人まで頷いただけかもしれない。多数派に見えるものが、合意ではなく同調圧力の結果であることは、珍しくないように思う。

だから、グループインタビューの結果は定量調査のように「何 % が支持」と数える場ではない。出てきた言葉や反応を、解釈の手がかりとして読む場である。

グループインタビューは、人数を数える場ではない

発注する側はつい、「多くの人がこう言った」という一文に安心したくなる。その気持ちは、自分にもよくわかる。けれど FGI が見せてくれるのは、何人が賛成したかではない。

ある一言に、なぜ他の参加者が反応したのか。どの言葉が、場の空気を変えたのか。

見るべきはそこだと思う。票数を数えて安心するだけなら、グループインタビューはただの多数決に縮む。人と人のあいだで何が起きたかを拾えたときにかぎって、この手法は、まだ言葉になっていない反応を見つける場として働く。

このページの著者 こんぺい

大手事業会社で商品企画に携わり、スタートアップではプロダクトマネージャーとして会社を立ち上げ、調査会社では立ち上げからリサーチオペレーションを築いてきました。事業をつくる現場でいつも大事だと感じるのは、作り手と使い手の想いが重なる部分をどう大きくするか、そして、いいものを届け続けるお金のめぐりをどうつくるか。その重なりを広げる力が、リサーチにはある。そう信じて、このメディアをつくっています。