相関

相関とは、2 つの変数が一緒に動く関係のことです。一方が増えると、もう一方も増える(または減る)傾向があるとき、そこに相関があるという。注意したいのは、相関は「一緒に動く」を意味するだけで、「一方が他方の原因だ」を意味しないことだ。

相関を具体例で理解する

アンケートの分析資料に、こう書かれていたとする。

「サービスの利用頻度が高い人ほど、満足度が高い傾向が見られました」

よく使う人の満足度が高い。なるほど、と読み流したくなる。

利用頻度と満足度という 2 つの数字が、同じ向きに動いている。これが相関だ。

そして資料には、たいてい続きがある。「だから利用を促せば満足度が上がる」。ここで一度、立ち止まりたい。

正の相関・負の相関と、その強さ

相関には向きがある。一方が増えると他方も増えるなら正の相関、一方が増えると他方が減るなら負の相関だ。

この向きと強さを 1 つの数字にしたのが相関係数で、-1 から +1 の間の値を取る。+1 に近いほど強い正の相関、-1 に近いほど強い負の相関、0 に近いほど関係が弱い、と読む。数式を覚える必要はない。「同じ向きにどれくらいきれいに並ぶか」の目盛りだと思えばいい。

相関は何を語らないのか

相関の落とし穴は、ほぼここに集まっている。

第一に、相関は因果ではない。利用頻度と満足度に相関があっても、「使うほど満足する」とは限らない。逆に「満足しているから、よく使う」のかもしれない(逆向きの因果)。あるいは、もともとそのサービスを好きな層が、頻度も満足度も両方押し上げているだけかもしれない。この「両方に効く第三の要因」を交絡と呼ぶ。

第二に、無関係なもの同士がたまたま一緒に動く疑似相関がある。アイスの売上と水難事故の件数には相関が出るが、原因は気温という別の要因で、両者に直接の関係はない。

第三に、相関係数という 1 つの数字は、外れ値や曲線的な関係に弱い。たった 1 人の極端な回答で数字が大きく動くこともあれば、はっきりした関係があるのに係数がほぼ 0 に見えることもある。数字を信じる前に、散布図で形を見ておきたい。

相関を見たら、何を確かめるか

だから、相関だけを施策の根拠にしない。これが実務でいちばん大事な線引きだ。

「利用頻度と満足度に相関あり」を見たら、施策を決める前に問いを足す。順序はどちらが先か。両方に効く第三の要因はないか。少人数のグループや外れ値に引っ張られていないか。クロス集計で切り口を分けて確かめたり、条件をそろえて比較したりする次の一手が要る。

相関は、答えではない。確かめるべき問いの入り口である。

相関とは、まだ仮説でしかない

私たちは数字に関係が見えると、つい物語を足してしまう。「使うほど満足するのだ」と。けれど相関が示しているのは、2 つの線が並んで動いた、という事実だけだ。なぜ並んだのかは、まだ何も言っていない。

それでも相関は無力ではない。むしろ、調べるに値する関係を最初に教えてくれる出発点である。

だから、次に分析資料で「相関が見られた」の一文に出会ったら、鵜呑みにする前にひとつだけ問いたい。この数字は、もう結論を出していいほど確かめ終えたものなのか、それとも、ここからようやく確かめ始める合図なのか。

このページの著者 こんぺい

大手事業会社で商品企画に携わり、スタートアップではプロダクトマネージャーとして会社を立ち上げ、調査会社では立ち上げからリサーチオペレーションを築いてきました。事業をつくる現場でいつも大事だと感じるのは、作り手と使い手の想いが重なる部分をどう大きくするか、そして、いいものを届け続けるお金のめぐりをどうつくるか。その重なりを広げる力が、リサーチにはある。そう信じて、このメディアをつくっています。