定点観測

定点観測とは、同じ指標を同じ条件で繰り返し測り続け、その移り変わりを追う調査の進め方で、マーケティングの実務ではトラッキング調査の通称として使われます。

「定点」という言葉が運んでいるもの

もとは気象観測や定点カメラの言葉だ。同じ場所にカメラを据え、同じ画角で空を撮り続ける。雲一枚の写りは平凡でも、並べれば季節の移ろいが立ち上がってくる。

その語感が、そのまま調査の世界に持ち込まれた。測る場所を動かさない。ものさしを取り替えない。同じ一点に立ち続けるからこそ、一点の高さではなく、点の連なりとして変化が読める。

あるブランドの認知率が 1 月に 38%、4 月に 41%、7 月に 39%。一回きりなら「高いのか低いのか」で立ち止まる数字が、同じ問い方で並んだ途端に、上り坂か下り坂かを語りはじめる。

中身はトラッキング調査

「定点観測」と「トラッキング調査」は、ほぼ同じものを指す。波を重ねる設計、条件を固定する約束、途中で設問を変えると時系列が切れること——その仕組みはトラッキング調査のページにまとめた。

呼び名として残しておきたいのは、「同じ点に立ち続ける」という日本語の手触りのほうだ。カタカナのトラッキングにはない、腰を据えて見張るという構えが、この言葉には残っている。

このページの著者 こんぺい

大手事業会社で商品企画に携わり、スタートアップではプロダクトマネージャーとして会社を立ち上げ、調査会社では立ち上げからリサーチオペレーションを築いてきました。事業をつくる現場でいつも大事だと感じるのは、作り手と使い手の想いが重なる部分をどう大きくするか、そして、いいものを届け続けるお金のめぐりをどうつくるか。その重なりを広げる力が、リサーチにはある。そう信じて、このメディアをつくっています。