顧客満足度(CS/CSAT)

顧客満足度(CS/CSAT)とは、商品やサービス、あるいは特定の接点に対して顧客がどれくらい満足したかを段階で聞き、満足の度合いを 1 つの数字で測る指標です。

顧客満足度を具体例で理解する

サポートに問い合わせた直後、こんなメールが届いたとする。

「今回の対応にどのくらい満足しましたか?」

選択肢は「とても満足・やや満足・どちらともいえない・やや不満・とても不満」の 5 段階。

回答が集まったら、上の 2 つ「とても満足+やや満足」を足して、全体に占める割合を出す。この上位 2 つの合算が満足とみなす範囲で、その割合がそのまま CSAT になる。仮に 100 人中 78 人が上位 2 つを選べば、CSAT は 78% だ。

聞いているのは「今の、この接点への満足」である。明日も使い続けるかではない。

これが顧客満足度(CSAT)である。

顧客満足度の仕組み

満足は、絶対的な出来栄えそのものではない。事前の期待と、実際に受け取った体験との差から生まれる。期待を上回れば満足が、下回れば不満が立ち上がる——この見方は満足研究の土台になっている(Oliver の期待不一致モデル)。だから同じ品質でも、期待が高い相手ほど満足は出にくい。

算出はトップ2ボックスで出すのが代表的だが、5 段階に点数を振って平均で出す流儀もある。ただし満足度の選択肢はリッカート尺度、つまり順序があるだけで目盛りが等間隔とは限らない。平均値は扱いに注意がいる。

近い指標と混同しやすい。NPS は「人に薦めたいか」というロイヤルティを、CES は「手間の少なさ」を測る。CSAT が映すのは、あくまで今この瞬間の満足だ。

満足しても、離れるときは離れる

最大の落とし穴は、満足が継続や行動を保証しないことだ。

「満足」と答えた人が、翌月には静かに離れていく。これは珍しくない。満足は気持ちの評価であって、次にどう動くかとは別物だからだ。満足度が高いのに解約が減らない、という場面は起こりうる。満足度だけで離反を読もうとすると、足をすくわれることがある。

もう一つ、天井効果がある。多くの人は深く考えず「満足」に寄せて答えがちで、点数が上に張りつき、改善の余地や差が見えにくくなる傾向がある。上位いくつを満足とするかの線引きも、決まりがあるわけではなく設計者の判断だ。トップ2ボックスにするか平均にするかで、同じ回答から違う数字が出る。

満足を国レベルで指標化した試みもある(Fornell ほかによる ACSI、Journal of Marketing 1996 年)。そこでも満足は単独で完結する数字ではなく、期待や知覚品質と結ばれて初めて意味を持つ変数として置かれている。

顧客満足度は、満足の「その先」を語らない

数字が高いと、つい安心してしまう。78% という割合は、よくやれている証拠に見える。

でも満足度が答えるのは「どう感じたか」までだ。「だから残るか」「だから薦めるか」には、別の問いを立てないと届かない。

その 78% は、来月も顧客でいてくれるのだろうか。

この一言を足せるかどうかで、CSAT の使い方は変わる。点数を測って終わりにすれば、ただの通知表になる。満足の向こうにある継続や推奨まで見ようとすれば、CSAT は次に何を聞くべきかを指し示す入口になる。

満足は、人の行動のいちばん手前にある温度なのだと思う。そこで測るのをやめず、次の問いへ継いでいけるかどうかに、CSAT の値打ちはかかっている。

このページの著者 こんぺい

大手事業会社で商品企画に携わり、スタートアップではプロダクトマネージャーとして会社を立ち上げ、調査会社では立ち上げからリサーチオペレーションを築いてきました。事業をつくる現場でいつも大事だと感じるのは、作り手と使い手の想いが重なる部分をどう大きくするか、そして、いいものを届け続けるお金のめぐりをどうつくるか。その重なりを広げる力が、リサーチにはある。そう信じて、このメディアをつくっています。