コレスポンデンス分析

コレスポンデンス分析とは、クロス集計表の行と列の関係を、2 次元程度の地図上に点として配置し、カテゴリ同士の関連を一望できるようにする多変量解析の手法です。対応分析とも呼ばれます。

コレスポンデンス分析を具体例で理解する

自社を含む 8 つのブランドに、「高級感」「親しみやすい」「先進的」「コスパが良い」など 10 個のイメージ語が当てはまるかを聞いたとする。

集計すると 80 マスの表ができる。眺めても、どのブランドがどのイメージに寄っているかは、すぐにはつかめない。

そこでコレスポンデンス分析にかけると、ブランドとイメージ語が同じ 1 枚の地図上に点で配置される。自社が先進的の近くに、別のブランドがコスパの近くに置かれていれば、市場での自社の立ち位置が目で見えてくる。

このポジショニングマップが、いちばん身近な使われ方である。

コレスポンデンス分析の仕組み

入力はクロス集計表である。各マスが「全体から予想される値」からどれだけ偏っているかを手がかりに、行と列の関係を少ない次元へ圧縮する。

その軸の上に、行のカテゴリ(ブランド)と列のカテゴリ(イメージ語)を点として置く。関連が強いカテゴリほど、同じ方向にまとまる。

何百もの数字を、点の位置という見える形に置き換える。それがこの手法のしていることだ。似た手法の因子分析が項目の背後に隠れた軸を推定するのに対し、こちらはクロス集計表を入れて、見えるカテゴリの対応をそのまま地図に返す。

コレスポンデンス分析は何に使うのか

向くのは、カテゴリ同士の関係を一望したいときである。

  • 複数ブランドと評価語の位置関係(ポジショニングマップ)を描きたい
  • 年代や地域といった属性と、選ばれた商品との対応を見たい
  • 自由回答の分類と、回答者属性の結びつきを探りたい

入力にするのは、行も列もカテゴリのクロス集計表である。「どのブランドにどのイメージが何件ついたか」のような件数の表が出発点になる。逆に、平均値の差を厳密に比べたい場面には向かない。まず一望して当たりをつけ、関係の構造を仮説として描く手法である。

コレスポンデンス分析でわからないこと

いちばん注意したいのは、地図の「近さ」の読み方である。

同じ種類の点同士、つまりブランド同士、イメージ語同士の近さは、関連の近さとして読んでよい。やっかいなのは、ブランドの点とイメージ語の点だ。図の上でたまたま近くに見えても、行と列はそれぞれ別の基準で配置されるため、距離をそのまま「結びつきが強い」と読むのは誤りになりやすい。

ではどう読むか。点を配置したこの地図(布置図)で、各点と中心(原点)を矢印でつなぐイメージを持つ。ブランドの矢印とイメージ語の矢印が同じ方向に長く伸びているほど、結びつきが強い。逆に、近くにあっても中心から見て違う方向なら関係は薄い。距離ではなく、向きで読む。

軸の意味づけには主観が入る。横軸が「高級感」を表すといった解釈は、分析者が点の並びを見て与えるもので、結果に名前が書いてあるわけではない。

さらに、各軸が表の偏りをどれだけ拾えているかは寄与率という割合で示される。寄与率の低い軸まで深読みすると、ほとんど偏りのない方向を意味ありげに語ってしまう。地図はサンプル数の大小も映さないので、件数はクロス集計表に戻って確かめたい。

発注側は、ここまでで十分だ。「どのブランドがどのイメージと同じ方向か」が読めれば報告には足りる。細かい軸の意味づけは、分析者と一緒に読み解けばよい。

コレスポンデンス分析は、地図を結論にしない

点が散らばった布置図は、それだけで答えが出たように見える。

でも、地図が示すのは関係の見取り図であって、結論ではない。同じ種類の点の近さは読める。違う種類の点は、中心から見た向きで読む。軸の名前は人がつける。寄与率の低い方向は深追いしない。

この線を引けるかどうかで、ポジショニングマップは説得の道具にも、思い込みの装置にもなる。

だから布置図を受け取ったら、点の種類を見分けて近さと向きを読み分け、軸の名前や寄与率は鵜呑みにしない。その手順を通した地図だけが、次の一手の根拠になる。

このページの著者 こんぺい

大手事業会社で商品企画に携わり、スタートアップではプロダクトマネージャーとして会社を立ち上げ、調査会社では立ち上げからリサーチオペレーションを築いてきました。事業をつくる現場でいつも大事だと感じるのは、作り手と使い手の想いが重なる部分をどう大きくするか、そして、いいものを届け続けるお金のめぐりをどうつくるか。その重なりを広げる力が、リサーチにはある。そう信じて、このメディアをつくっています。